新卒4月入社予定の企業様へ

新卒4月入社予定で、留学ビザから就労ビザへ変更申請をする必要がある方は、前年12月1日より、変更申請が受付開始となります。お早めに手続きされることをおすすめいたします。
※2025年1月~混雑による遅れが発生する可能性がございます。(2022年3月の入国制限緩和に伴い新規入国した多くの技能実習生が3年経過し、技能実習2号を修了する等のため)

外国人留学生が日本の企業(会社)に就職しビザの種類を留学ビザから就労ビザへの変更する必要があります。

しかし、留学生なら誰でも日本企業(会社)に就職できるかと言えばNOです。
留学生の方が就労ビザ(在留資格)を変更し日本で働くためには、職務内容ごとに決まった審査基準があります。

この記事では、外国人留学生が就職し、留学ビザから就労ビザに切り替えるために必要な要件やパターンを、詳しく解説していきます。

会社が留学生を採用する前に確認しておくこと

(ア)留学生の学歴(専攻)、日本語能力を確認する

はじめに、外国人留学生の学歴、保有資格を確認しましょう。
外国人の経歴は、どの就労ビザに切り替えるにしても、重要な審査ポイントとなります。

留学生の場合は、一部の例外を除き、職務経歴がないので、学歴要件を満たし就労ビザに切り替えることになります。学歴は、①大卒、②大学院卒、③専門卒、④日本語学校卒のいずれかを確認します。

次に、学校で何を専攻していたのかを確認します。具体的には、「工学部で建築設計を専攻」、「文学部で日本文化を専攻」、「経済学部でマーケティングを専攻」等、学部・学科から専攻していたものを確認します。

そして最後に、日本語能力を確認します。留学生であれば、日本語能力試験で、N1,N2、N3、N4等に合格している人もいるので、確認しておきましょう。

(イ)採用後の職務内容を確認する

次に、採用後どのような仕事をしてもらう予定なのか、職務内容を明確にしましょう。

採用する会社が製造メーカーで設計技術者を探しているのか、化粧品メーカーで商品開発・マーケティング人材を探しているのか、飲食店で接客スタッフを探しているのか、入社後、留学生にどの職務に就いてほしいのかを明確しましょう。

(ウ)該当する就労ビザを確認する

最後に、上記(ア)(イ)を踏まえ、留学ビザから就労ビザへ切り替える審査要件に合致しているかを確認します。
留学生が切り替えることの多い就労ビザは、「技術・人文知識・国際業務ビザ」、「特定活動ビザ(告示46号)」、「特定技能ビザ」のいずれかのパターンであることが殆どです。
詳しくは、次項で解説いたします。

留学ビザから就労ビザへ切り替えるパターン

(ア)技術・人文知識・国際業務ビザに切り替える

はじめに、留学ビザから技術・人文知識・国際業務ビザに切り替えるパターンです。実際、弊所でご支援している中でもこのパターンが最も多いです。
技術・人文知識・国際業務それぞれで仕事内容と審査要件が分かれていますので、確認していきましょう。

技術 〇仕事内容〇
製造業や建設業の設計技術責任者・IT企業のシステムエンジニア等
〇審査要件〇
大学卒又は専門卒で専攻していた学問と仕事の業務内容の関連性が必要。
学歴要件を満たさない場合は、10年の実務経験が必要。
人文知識 〇仕事内容〇
不動産会社の都市開発業務、化粧品メーカーのマーケティング業務、業種問わず会計業務等
〇審査要件〇
大学卒又は専門卒で専攻していた学問と仕事の業務内容の関連性が必要。
学歴要件を満たさない場合は、10年の実務経験が必要。
国際業務 〇仕事内容〇
通訳翻訳・貿易事務・海外営業など語学を活かした業務等
〇審査要件〇
大学卒(4年制)である必要がある(学部は問わない)。
学歴要件を満たさない場合は、3年の実務経験が必要。
※一定の日本語能力があり、業務を遂行できる能力を証明できる方が好ましい。

上記の表をご確認いただき、仕事内容・審査要件が合致すれば、就労ビザへ切り替える準備を進めましょう。
技術・人文知識・国際業務ビザについては、別の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はご参照ください。

(イ)特定活動ビザ(告示46号)に切り替える

次に、特定活動ビザ(告示46号)に切り替えるパターンについて解説します。
このビザは、留学生の就職支援のために、2019年に新設されたビザで歴史はまだ浅いです。

特定活動ビザ (告示46号) 〇職種〇
飲食店(レストラン等)の接客スタッフ
製造業の現場作業員(製造ラインスタッフ)
宿泊業(ホテル・旅館)の接客スタッフ
小売店の接客スタッフ
その他(介護スタッフやタクシードライバー)
〇仕事内容
通訳を兼ねて、各種業務を行うこと。
例1:飲食店、宿泊施設、小売店、タクシードライバーなどであれば、外国人観光客等の接客対応をするとき、通訳業務を兼ねること。
例2:製造業の現場作業員であれば、日本人スタッフから受けた作業指示を、外国人スタッフ(技能実習生等)に、通訳する業務を兼ねること。
〇審査要件〇
以下の両方を満たすこと
〇日本の大学を卒業、又は大学院を修了していること(新卒採用は見込みでOK)
〇日本語能力試験N1、又はBJTビジネス日本語能力テスト480点以上

これまで(2019年以前)は、接客スタッフ等で就労ビザを取得することは困難でしたが、特定活動ビザ(告示46号)が新設されてからは、働くことができるようになりました。
但し、審査要件である「日本語能力試験N1、又はBJTビジネス日本語能力テスト480点以上」という基準の難易度が高い為、一部の留学生のみが満たす要件となっています。
特定活動ビザ(告示46号)については、別の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はご参照ください。

(ウ)特定技能ビザに切り替える

続いて、特定技能ビザに切り替えるパターンについて解説します。
特定技能ビザも2019年に新設されたビザで歴史はまだ浅いです。

特定活動ビザ (告示46号) 〇業種〇
建設現場の作業員
製造現場の作業員
飲食店(外食産業)の接客スタッフ
宿泊業(ホテル・旅館)の接客スタッフ
ビルクリーニングの作業スタッフ
介護スタッフ
自動車・航空関係の現場スタッフなど
〇審査要件〇
以下の両方を満たすこと
〇日本語能力テストに合格すること(日本語能力試験N4以上又は日本語能力判定テスト合格)
〇業種別の技能試験に合格すること

特定技能ビザは、他の2つのビザと異なり、学歴要件がありません。
そのため、これまで該当しなかった日本語学校卒の留学生が特定技能ビザに切り替えるというパターンが出てきています。
そして、日本語能力テストはN4以上とそれほど難易度は高くないこと、業種別の技能試験についてもそれほど難易度が高くないことから、上記2つの要件を満たさない留学生が申請するパターンが増えています。
特定技能ビザについては、別の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はご参照ください。

(エ)就職活動を行う特定活動ビザに切り替える

最後に、留学ビザの在留期限までに就職先が決まらず、引き続き日本で就職活動をしたいと考える留学生向けの特定活動ビザについて解説いたします。

留学ビザの在留期限までに就職先が決まらなくても、この特定活動ビザへ切り替えることで引き続き、日本で就職活動ができます。

就職先で見つからない、就労ビザの試験合格要件を満たしていない等で働くことができないといった留学生は、変更申請することで、1年間(6カ月×2回)の就職活動のための特定活動ビザを取得することができます。

内定後、変更申請するまでに準備しておくこと

(ア)在留カードのコピーを貰っておく

留学生に内定を出した場合は、在留カードのコピーを貰っておくことをおすすめします。
在留カードには「在留資格」「在留期限」が書いてあるので、現在の在留資格は留学であること、在留期限はいつまでかを確認し、期日までに変更申請をできるよう準備をすすめましょう。

(イ)大学等の卒業証明書・成績証明書の提出依頼をする

学歴要件を満たし審査基準をクリアする場合は、大学等の卒業証明書・成績証明書を提出する必要があります。
そのため、内定を出した場合は、必ず提出するよう留学生に依頼しましょう。
なお、卒業証書と卒業証明書・成績証明書は異なります。
卒業証書は1つしかないもの、卒業証明書・成績証明書は何度も発行して貰えるものです。
卒業証書でもよいのですが、原本提示が必要であることから、できるだけ卒業証明書・成績証明書を取得してもらうことをおすすめしています。

(ウ)大学等の卒業見込み証明書を貰う(卒業証明書の発行が間に合わない場合)

留学生を新卒採用する場合、就労ビザへ変更申請するときに、まだ卒業していないケースが大半です。
その場合は、卒業証明書ではなく、卒業見込み証明書を発行して貰い、変更申請することになります。
そして、卒業したのち、卒業証明書を追って提出します。
ですので、内定を出したら、できるだけ早めに卒業見込み証明書を貰うよう留学生に依頼しましょう。

(エ)新卒4月入社の場合は、早めに申請準備をする

4月入社の新卒の場合、就労ビザの変更申請は前年の12月1日から受付開始となります。審査には通常1~2か月かかるため、早めの申請をおすすめします。申請が遅れると、4月1日までに就労ビザへ切り替えることができず、入社日を延期せざるを得ない可能性があります。書類の準備を計画的に進め、早期に手続きを完了させましょう。

必要書類

必要書類については、切り替える就労ビザの種類にもよりますが、概ね必要な資料は以下の通りです。

留学ビザから就労ビザへ変更申請する際の必要書類
  • 在留資格変更許可申請書(申請書1ページ目に顔写真を貼る)
  • パスポート、在留カード(原本提示)
  • 履歴書
  • 学歴要件を満たす場合:卒業証明書、成績証明書(卒業前の場合は、卒業見込み証明書)
  • 保有資格要件を満たす場合:保有する資格証明書(日本語能力試験N1等)
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 会社の履歴事項全部証明書(発行後3カ月以内のもの)
  • 決算報告書
  • 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受理印又は電子申請完了の証明資料)
  • 会社概要説明資料(パンフレットや事業内容がわかるもの)
  • 雇用理由書

詳しくは、変更する在留資格別で、法務省のサイトをご確認ください。
但し、上記で必要書類の全てではありません。個別審査で、追加で提出が求められる書類や、証明しなければならない書類があることをご認識ください。

留学ビザから就労ビザへの変更許可事例・不許可事例

変更許可された事例

許可事例1

本邦において経済学を専攻して大学を卒業した者が、本邦の空港に隣接するホテルとの契約に基づき、月額約25万円の報酬を受けて、集客拡大のためのマーケティングリサーチ、外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の許可事例では、集客拡大のためのマーケティングリサーチも語学力を活かして行うもの、外国人観光客向けの宣伝媒体は外国語で作成するものと推測できます。また、広報・宣伝業務は、「技術・人文知識・国際業務」のうち、”国際業務”に該当しますので、許可されたものと判断します。

許可事例2

本邦の専門学校において日本語の翻訳・通訳コースを専攻して卒業し、専門士の称号を付与された者が、外国人観光客が多く利用する本邦の旅館において月額約20万円の報酬を受けて、フロントでの外国語を用いた案内、外国語版ホームペ-ジの作成、館内案内の多言語表示への対応のための翻訳等の業務等に従事するもの
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の許可事例では、大学卒ではなく、専門学校卒です。専門学校卒の場合は”国際業務”の場合は実務経験3年以上が必要(大卒であれば実務経験不要)であることから、専門学校での専攻と仕事内容に関連性があるとして、”人文知識”で許可されたものを推察します。

許可事例3

本邦において経営学を専攻して大学を卒業した者が、外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後、2か月間の座学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て,月額約30万円の報酬を受けて、外国語を用いたフロント業務、外国人観光客からの要望対応、宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の許可事例では、座学研修2か月、接客研修6か月が認められるか否かというのがポイントです。
在留資格に該当しない活動である研修が認められるか否かについては以下の記載があります。

企業においては、採用当初等に一定の実務研修期間が設けられていることがあるところ、当該実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない活動(例えば、飲食店での接客や小売店の店頭における販売業務、工場のライン業務等)であっても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間中の活動を全体として捉えて、在留期間の大半を占めるようなものではないようなときは、その相当性を判断した上で当該活動を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格内で認めています。
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

つまり、日本人・外国人問わず、入社後研修がある場合、研修内容が在留資格の活動に該当していなくても、認められるということです。
しかし、注意点としては、①採用から1年を超えて研修する場合は認められない可能性があること、②研修期間を定めて申請する場合は、在留期間は原則1年になること(1年後、研修が予定通り終了した報告と共に更新申請するのが好ましい)を念頭において頂ければと思います。

変更不許可になった事例

不許可事例1

本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し、専門士の称号を付与された者が、本邦のホテルとの契約に基づき、フロント業務を行うとして申請があったが、提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ、これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の不許可事例では、前述の研修について、認められなかったケースです。
研修と称して、専らレストランでの配膳や客室の清掃を2年間も従事させることに合理性がないと判断され、不許可になったものと推察できます。

不許可事例2

イラストレーション学科を卒業した者から、人材派遣及び有料職業紹介を業務内容とする企業との契約に基づき、外国人客が多く訪れる店舗において、翻訳・通訳を伴う衣類の販売業務に従事するとして申請があったが、その業務内容は母国語を生かした接客業務であり、色彩、デザイン、イラスト画法等の専攻内容と職務内容との間に関連性があるとは認められず、また翻訳・通訳に係る実務経験もないため不許可となったもの。
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の不許可事例では、専門学校の専攻と仕事内容に関連性がないとして、不許可になったと判断できます。
専門学校卒の場合は、国際業務(通訳翻訳等)は、実務経験が3年以上なければ認められません。
大学卒で、日程の日本語能力があれば、許可された事例だと判断できます。

不許可事例3

翻訳・通訳専門学校において、日英通訳実務を履修した者が、翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが、稼働先が飲食店の店舗であり、通訳と称する業務内容は、英語で注文を取るといった内容であり、接客の一部として簡易な通訳をするにとどまり、また、翻訳と称する業務が、メニューの翻訳のみであるとして業務量が認められず不許可となったもの
注:「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」より

上記留学生の不許可事例では、該当する仕事内容の仕事量が、少なすぎると判断された事例です。
実際は、審査要件を満たさない別の仕事(接客業務)を中心に行うものの、就労ビザを許可して欲しいため、業務量が極めて少ない仕事を、主たる仕事内容で申請して不許可になったパターンです。
この場合、不許可になるだけでなく、虚偽申請、不法就労にも繋がりますので、くれぐれもご注意いただきたく思います。

よくある質問

新卒4月入社の場合、就労ビザ申請はいつからできますか?
4月入社の新卒の場合、就労ビザの申請受付は例年12月1日から開始されます。このタイミングで入国管理局に必要書類を揃えて申請することが可能です。早めに申請することで、審査期間を考慮しながら余裕を持って準備できます。
卒業証明書が取得できない場合、どうすればよいですか?
就労ビザ申請時に卒業証明書が取得できない場合は、卒業見込み証明書を提出することで申請が可能です。その後、正式な卒業証明書が取得でき次第、速やかに提出する必要があります。
4月1日入社予定ですが、それまでに就労ビザが取得できない場合、どうなりますか?留学ビザの資格外活動でアルバイトとして、(就労ビザが発給されるまで)入社できますか?
いいえ。就労ビザの許可が下りるまで、新しい会社での正社員としての業務を開始することはできません。留学ビザの「資格外活動許可」に基づくアルバイトも、卒業後は対象外となるため、労働活動が認められません。

留学ビザから就労ビザへの変更申請はお任せください(大阪から全国対応可)

せっかく、求めるスキルをお持ちの留学生に巡り合うことができても、留学ビザから就労ビザに変更することができなければ、働くことができません。そして、就労ビザをスムーズに取得できるか否かは、留学生にとっても、就職先の会社にとっても、重要なことです。
就労ビザ手続きを、行政書士等に依頼する場合、相談する専門家の技量によっても、許可までのスピードや結果が異なります。行政書士等に、申請代行(取次)を依頼する場合は、信頼できる人にご相談することをお勧めいたします。
留学ビザから就労ビザへ変更申請をご検討の会社様は、お気軽にクレアスト行政書士事務所までお尋ねください。オンライン申請、WEB会議等を駆使し、大阪から全国各地の中小企業様をサポートしています。※弊所は、大阪入国管理局管轄区域に事務所を有していますが、在留申請オンラインシステムで全国のビザ申請代行(取次)に対応しています。