経営管理ビザは、「外国人が日本で会社設立し事業を開始する」場合、「日本にある会社の経営者・管理者として従事する」場合で、長期(3ヶ月以上)にわたり日本に滞在する際に必要な在留資格です。

この記事では、経営管理ビザの審査要件【資本金500万円・必要書類・審査期間、許可率を上げるポイント、行政書士報酬の相場】などを詳しく解説いたします。

経営管理ビザでできる仕事と主な業務内容

まずはじめに、経営管理ビザで働くことができる仕事・業務内容とその具体例を解説します。

経営管理ビザでできる仕事・業務内容

事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行若しくは監査の業務に従事する者の活動であり、「経営」には代表取締役、取締役、監査役などが、「管理」には部長、工場長、支店長などがが該当する

つまり、上記の仕事・業務内容を行う予定の外国人で、会社の業務執行権や経営権(重要事項決定権など)の権限を持っている役員などであるか否かがポイントです。

工場長、支店長であっても、上記の権限を持っていない従業員の場合は、別の就労ビザの申請を検討する必要があります。

次に、経営管理ビザを取得する主なパターン、弊所にご相談が多いパターンを説明いたします。

経営管理ビザを取得する主なパターン
  • 留学生として来日し、卒業後に起業する外国人(留学ビザから経営管理ビザへ変更)
  • 日本に就労ビザで勤務したのち、独立・起業する外国人(就労ビザから経営管理ビザへ変更)
  • 海外で会社経営していて、日本進出される外国人の方
  • 経営者または管理者として日本の企業に招へいされる外国人

特に、弊所は、①「留学ビザ」から「経営管理ビザ」へ変更申請、②「就労ビザ」→「経営管理ビザ」へ変更申請、③海外経営者の日本進出(新規認定申請)が多いです。

経営管理ビザの500万円要件と事務所要件(会社を新設する場合)

(新たに会社を設立する場合)経営管理ビザの審査要件として、(ア)資本金500万円要件、(イ)事務所の確保要件の2つがあります。

(ア)要件①:資本金500万円要件とその他のパターン

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
注:「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」より

上記の通り、入管法には、①資本金500万円を用意するか、②常勤職員(従業員)を2名雇用するか、③またはそれに準ずる規模にするか、いずれかを選択し要件を満たす必要があります。

実際には、①資本金を500万円以上とし要件を満たすケースが圧倒的に多いですが、②③を選択しても構いません。

但し、②の場合は、常勤職員(従業員)を2名雇用する必要があり、人件費がかかります。
常勤職員なので、最低月20万円×12か月×2名=年間480万円程度かかります。
そのため、資本金を500万円用意して、まずは従業員は雇用せずスタートするケースが多いです。

③の場合は、例えば、資本金を250万円×常勤職員1名というパターンが考えられます。

注意点としては、常勤職員(従業員)の人数にカウントされるのは、日本人または身分系ビザ(永住者や日本人の配偶者)に限られ、就労ビザで在留する外国人はカウントされないので注意が必要です。

ですので、(ア)夫婦2名が就労ビザを保有している、(イ)旦那さんが独立して、経営管理ビザを申請、(ウ)奥様は、旦那様の会社へ転職するといった場合、奥様は常勤職員の人数にカウントできないので、資本金を500万円用意し、要件を満たす必要があります。

(イ)要件②:独立した事務所が必要。注意点は?

事務所は、賃貸契約で事務所を有している又は、自社所有物件(又は外国人本人所有物件)の事務所を有していることが必要です。

一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。
注:「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」より

バーチャルオフィスや(固定の個室を確保していない)シェアオフォスは通らないのでご注意ください。

そして、①自宅と事務所は別々に存在するか、②自宅兼事務所であっても明確に区分けする必要がありますので、ご注意ください。

外国人が会社を設立する具体的な手続き

外国人が会社を設立する方法、会社設立時の注意点については、別記事で詳しく解説しています。

管理者として、経営管理ビザを申請する場合の注意点

上記の解説は、新たに会社を設立して、経営管理ビザを取得する場合の解説でした。※経営管理の「経営」の要件。管理者(経営管理の「管理」)として申請する場合の審査要件は次の通りです。

三 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
注:「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」より

管理者として申請する場合は、①3年以上の実務経験を証明すること(在籍証明書等を提出)、②日本人と同等以上の報酬とすることの2点にお気をつけください。

経営管理ビザ申請の必要書類一覧

経営管理ビザを申請する際には、必要書類を正確に揃えることが許可取得の重要なポイントです。

本表では、「共通の必要書類」「経営で申請する場合の必要書類」「管理で申請する場合の必要書類」に分類してわかりやすくまとめています。※個別の事案に応じて必要書類が変わることがあります。

経営管理ビザ新規・変更申請時の必要書類
【経営・管理:共通の必要書類】
  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 顔写真(縦4㎝×横3㎝)
  • パスポートのコピー
  • 大学の卒業証明書
  • 日本語能力を証明する書類 ※日本語能力試験合格証など
  • 申請理由書
  • ※これまでの経歴、起業のきっかけ、出資金の形成過程説明、共同経営者と知り合ったきっかけ、共同経営者との役割分担、起業準備中に行ったこと、自分の強み、経営にかけるいきごみ、会社の概要、将来の事業展望などを記入。
  • 出資金の形成過程説明を証明できる書類
【経営で申請する場合(経営者として会社を新設し申請する場合)の必要書類】
  • 事業計画書(収支計画を含む)
  • 登記事項証明書
  • 定款(コピー)
  • 株主名簿
  • 株主総会議事録(取締役の報酬額を決定したもの)
  • 会社説明資料(事業内容や取引先等がわかるもの)
  • 会社の写真 (外観(ビルの場合は1Fの表札、ポスト)、事務所入口、事務所内の様子(机・パソコン・キャビネット等、仕事場であることわかるように))
  • 建物賃貸借契約書コピー(所有の場合は、建物の登記簿)
  • 事務所の図面(平面図)
  • 給与支払事務所等の開設届出書のコピー
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書のコピー
  • 法人設立届出書のコピー
  • 許認可に関する書類(許認可が必要な事業を開始する場合)
【管理で申請する場合(管理職で雇用される場合)の必要書類】
  • 雇用契約書
  • (経営・管理において)3年以上の経験があること証明書類
  • 決算報告書(貸借対照表、損益計算書等)
  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

経営管理ビザの審査期間とスケジュールの目安

経営管理ビザの申請には、新規認定申請(海外からの呼び寄せ)と変更申請(現在日本に在留している外国人の在留資格変更)の2つのケースがありますが、審査期間・申請準備期間・スケジュールはおおむね同じです。

項目期間
審査期間2~3ヶ月
申請準備期間(申請するまでの準備期間)法人設立を含めて2ヶ月程度

スケジュール例

  1. step1:【会社設立準備:申請の4~5か月前】
    日本で会社を設立する場合、法人登記に1か月程度かかります。資本金500万円の準備や事務所の確保などを進め、日本の協力者にサポートを依頼するか、会社設立のために短期滞在ビザで来日する必要があります。以前に行政書士等に相談、報酬等を確認しておくことを推奨。
  2. step2:【必要書類準備:申請の3~4か月前】
    登記簿謄本、事務所の賃貸契約書、事業計画書、株主名簿など、必要な書類を揃えます。見積を取り(報酬を確認)、依頼する行政書士を決定。申請代行(取次)を依頼します。
  3. step3:【入国管理局への申請:申請の2~3か月前】
    行政書士のサポートを受けながら、申請書類を完成させ、入国管理局に申請代行(取次)して貰います。審査期間は通常2~3か月かかります。
  4. step4:【許可取得と入国準備:入国の0.5~1か月前】
    許可が下りた後、母国の日本大使館または領事館で査証(ビザ)を取得します。航空券や住居の手配を済ませ、来日に備えます。
注意点
  1. 日本で会社設立を進める際は、協力者が必要です。協力者がいない場合、自身で短期滞在ビザ等を取得して来日し、登記手続きを進めます。
  2. 書類の不備があると審査期間が長引くため、行政書士などの専門家を活用することをおすすめします。
  3. 申請時に大学等の卒業証明書が入手できない場合、卒業見込み証明書を提出し、後日(又は審査期間中入手でき次第)卒業証明書を補足提出する必要があります。

経営管理ビザの許可率を上げるためのポイント

経営管理ビザを取得するためは、①申請する外国人が、経営者(又は管理者)としての能力があるか、②適切に会社を経営(又は管理)できるかの2点を証明することが重要です。

審査員の立場を考えると、①許可を出したもののすぐ廃業してしまう可能性がある、②実際は、別の人が経営する可能性がある(名ばかり経営者・管理職)ような場合は、許可を出せないと考えるでしょう。

では、具体的にどのような点を証明すればよいか、解説します。

ポイント①:経営者として能力があることを証明する

申請する外国人の学歴・資格又は職歴などから、経営者としての能力があると説明できるか言えるか、日本と関連性のあるビジネス経験者か、留学経験などがあり日本との関りがあるか、日本語が話せるか、などが挙げられます。

もちろん、全ての要件を満たしている必要はありませんが、申請する外国人に経営者として能力があるかどうかは審査基準になりますので、しっかりと証明しましょう。

ポイント②:事業計画が明確であることを証明する

経営管理ビザ申請時に、適切に会社を運営できるという証拠書類として「事業計画書」を提出しなければなりません。

入国管理局に提出する専用の決まった書き方やフォームなどは存在しませんが、経営コンサルタント等が作成する実効性の高い事業計画を作成する必要があります。

具体的には、5W1H. 「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という観点や、今後の売上計画、採用計画、営業種目や、将来の予想損益計算書とその実現可能性を示す根拠などを記載していく必要があります。

弊所は、経営コンサルタントの唯一の国家資格である中小企業診断士を兼務している事務所で、最も得意としている部分です。

ビザの専門家(申請取次行政書士)と、経営の専門家(中小企業診断士)の兼業で支援している事務所は、全国でも多くはないので、経営管理ビザのご相談を多く頂いています。

弊所の経営管理ビザ申請代行サービスの特徴

特徴①:入管法と経営知識に精通した専門家が対応します

弊所は、経営管理ビザを専門に取り扱う行政書士事務所です。
経営管理ビザの申請には、入管法に関する深い知識と実務経験が必要不可欠です。弊所では、申請取次行政書士として日々最新の知識を更新し、実務を通じて培ったノウハウを駆使して申請をサポートします。さらに、中小企業診断士の資格を併せ持つダブルライセンスを活かし、経営管理ビザに必要な事業計画書の作成や、業績改善計画の提案もワンストップで対応可能です。他社では得られない、経営の専門知識と法務知識を融合させたサービスで、企業様の満足度向上を目指します。

特徴②:許可を勝ち取るための徹底サポート

経営管理ビザを取得するためには、事業計画書や資本金証明など、条件を満たすことを示す根拠書類が極めて重要です。
弊所では、経営や事業に関する専門知識を活かし、審査官に納得いただける正確な書類を作成。不許可のリスクを最小限に抑え、安心して申請を進められるよう支援します。また、万が一、不許可となった場合でも追加費用なしで再申請を行い、最後まで責任を持って対応します。豊富な経験と実績をもとに、確実な許可取得を目指します。

特徴③:申請後も完全サポートで安心

経営管理ビザの申請後、入国管理局から追加資料や確認書類の要求があることが少なくありません。これらの対応が不十分だと、不許可のリスクが高まる可能性があります。
弊所では、追加費用なしで追加資料の作成・提出対応を迅速に行い、お客様の負担を軽減します。必要に応じて、資料の整合性や補足説明を行い、審査がスムーズに進むようサポートします。申請後のフォロー体制も万全で、企業様と外国人経営者様の安心をお約束します。

特徴④:行政書士と中小企業診断士のダブルライセンスで支援

弊所の最大の強みは、行政書士と中小企業診断士のダブルライセンスを活かしたサポート体制です。
経営管理ビザ申請の要となる事業計画書の作成や、収益性を裏付ける資料の準備を経営の視点からサポート。また、中小企業様の日常的な支援業務を通じて培った知識を活かし、事業開始後の運営に関するアドバイスも提供可能です。他社には少ないこのダブルライセンスによるサービスで、経営管理ビザ申請の成功だけでなく、事業の成長まで見据えた継続的なサポートを行います。

行政書士に経営管理ビザ申請代行を依頼する際の費用

行政書士報酬の相場は以下の通りです。ただし、料金だけでなく、実績やサポート内容を確認することが重要です。例えば、申請書類の不備を防ぐチェック体制や、追加資料提出への対応が、報酬内に含まれているかを事前に確認しましょう。安く見せかけておいて後から追加費用を求められないかしっかり報酬体系を確認することをおすすめいたします。

弊所では、リーズナブルな価格で高品質なサービスを提供しています。

項目一般的な報酬相場弊所の報酬
経営管理ビザ申請代行費用20万円前後~20万円~(税抜)
※事業計画書作成含む、作成済みの場合は割引
会社設立代行費用10万円前後~
※設立後の税理士顧問契約とセットの場合あり
セット時 8万円~(税抜)
※税理士顧問契約は不要。必要であれば、リーズナブルな税理士事務所紹介可。
定款認証料実費(5.2万円)
電子認証非対応の場合+4万円
実費(5.2万円)
登記費用実費(15万円)実費(15万円)
支払い条件依頼時に全額の場合あり着手時に半金、許可取得時に半金
保有資格行政書士のみの場合は殆ど行政書士・中小企業診断士
※経営から法務まで幅広くサポート

詳細は料金ページをご参照ください。

許可事例と不許可事例から学ぶ審査のポイント

経営管理ビザの申請では、審査要件を満たしていても、準備不足や書類の不備によって許可が得られないケースがあります。一方で、ポイントを押さえた準備を行えばスムーズに許可を取得できる可能性が高まります。具体的な「許可事例」や「不許可事例」を知ることで、どのような準備が必要か、どんな点に注意すべきかが明確になります。詳細については、別記事をご覧ください。

許可取得後に必要な税務手続きと社会保険手続き

経営管理ビザを取得できたら終わりではありません。通常1年後に更新を行う必要があります。

その際、税務関係の手続きや、社会保険関係の手続きを怠ると不許可になる可能性があります。くれぐれもお忘れないよう手続きして頂きますようお願いします。

(ア)許可取得後の税務関係の手続き一覧

税務関係の手続き方法です。通常、顧問税理士と契約すると思いますので、わからなければ、サポートしてもらうことをおすすめします。詳しくは、下記の記事をご参考ください。

(イ)許可取得後の社会保険手続きの流れ

社会保険関係の手続き方法です。社会保険労務士の方のサポートを受ける場合は、サポートして貰えばよいのですが、契約しないケースもよくあります。

お忘れないよう手続きすることをおすすめいたします。詳しくは、下記の記事をご参考ください。

経営管理ビザの申請代行(取次)はお任せください(大阪から全国対応可)

いかがでしたでしょうか。

この記事では、経営管理ビザの審査要件【資本金500万円、必要書類、審査期間、許可率を上げるポイント、行政書士報酬の相場】について詳しく解説しました。

経営管理ビザの取得は、外国人の方の生活やキャリアに大きな影響を与える重要な手続きです。当事務所は大阪を拠点に、オンライン申請やWEB会議を活用しながら、全国対応でサポートを提供しております。どの地域にお住まいの方でも、安心してご相談いただけます。

申請や相談をご検討中の方は、大阪拠点のクレアスト行政書士・中小企業診断士事務所にぜひご相談ください。

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