就労ビザ・経営管理ビザを取得後、海外出張や母国へ帰省するなどの理由で、外国人が日本を離れる(出国する)ことがあります。
日本を一時的に出国する場合、①みなし再入国許可、②再入国許可の2パターンがあります。
この記事では、それぞれの制度違い・注意点・よくある疑問にお答えいたします。
みなし再入国許可と再入国許可の違い
みなし再入国許可 | 再入国許可 | |
---|---|---|
出国期間 (日本に再入国までの期間) | 1年未満 ※注1 (又は在留期限までの早い方) | 1年以上(最長5年 ※注2) |
延長の可否 | できない(1年以上に延長不可) | できる(最長1年) |
出国前の事前手続き | 不要 ※出国時のEDカードにチェックを入れるだけ | 必要 ※事前に入国管理局で許可申請が必要 |
※注1:特別永住者の場合は2年 ※注2:特別永住者の場合は6年
みなし再入国許可の申請方法と必要書類(記載例あり)
みなし再入国許可は、2012年からスタートした制度で、(再入国許可と異なり)手続きが非常に簡単です。
中長期(3か月超)の在留資格を持っている外国人で、出国期間が1年未満の(日本に1年未満に戻ってくる)場合は、必ず、みなし再入国許可を得るようにしましょう。
申請方法・必要書類は次の通りです。
- 申請場所:出国する際の日本の空港(出国審査時)
- 申請する人:外国人本人(申請人)
- 提示物:再入国出入国記録(EDカード)を貰い、該当箇所にチェックを入れ提出する
- 費用:無料
- 申請方法:EDカードにチェックを入れるだけ
具体的なみなし再入国許可の申請書(EDカード)の書き方(記載例)
申請書は、出国審査時に、再入国出入国記録(EDカード)を貰います。
そして、就労ビザで1年以内に再入国するケースの場合、下記の見本の水色枠の2か所にチェックを入れます。
チェックを入れたらその他の必要事項も記載し、提出してください。
みなし再入国許可の対象外になるケース
①3ヶ月以下の在留資格を持っている方、②「短期滞在の在留資格を持っている方、③1年以上日本を離れる方は、「みなし再入国許可」は取得できないため、「再入国許可」の手続きをしなければいけません。
再入国許可の申請方法と必要書類
みなし再入国許可に該当しない場合は、再入国許可の取得をする必要があります。
中長期(3か月超)の在留資格を持っている外国人で、出国期間が1年以上の(1年以上日本に帰ってこない)場合は、再入国許可を得るようにしましょう。
- 申請場所:管轄の入国管理局(事前に手続きする必要がある)
- 申請する人:外国人本人(申請人)、申請取次行政書士、申請取次の承認を受けている職員等
- 提示物:「再入国許可申請書」「パスポート」「在留カード」
- 費用:シングル(1度のみの再入国)3,000円 ダブル(複数回再入国可能)6,000円
- 申請方法:管轄の入国管理局に、事前に手続きする。(問題がなければ即日許可を得られる)
みなし再入国許可に関するよくある疑問(Q&A)
- 在留期限が1ヶ月以内に切れます。更新申請中又は変更申請中に、海外に出国できますか?また、みなし再入国許可は得られますか?
- 更新申請中(就労ビザの更新中等)であれば、出国することができ、みなし再入国許可も得ることができます。
また、在留期間の変更申請中(留学ビザから就労ビザへの変更申請等)であっても、同様に出国することができ、みなし再入国許可も得ることができます。 - 海外に出国中に在留期限が来た場合、どうなりますか?
- 海外に出国中に在留期限が来た場合であっても、更新申請中又は変更申請中であれば、期限が切れた後でも、みなし再入国で日本に戻ることがができます。
但し、在留期限の2ヶ月以内(且つ、更新・変更許可が下りて速やかに)に日本に戻る(再入国する)必要があります。
また、更新申請中又は変更申請中であることを証明できるようにしてください。
※入国管理局へ持参して申請した場合は、在留カードの裏面に申請中のスタンプを押して貰えます。オンライン申請の場合は、申請中である書面(メール文)が発行されるので提示できるようにしてください。なお、更新申請・変更申請をせずに、在留期限が到来した場合は、みなし再入国はできません。更新・変更もできず、イチからやり直す(新規在留資格認定証明書交付申請を)する必要があります。
- 海外に出国中に更新申請・変更申請は可能ですか?
- できません。
日本に滞在中に、更新申請・変更申請してください。 - 就労ビザを、在留期間1年で許可を得ました。しかし、海外に半年以上滞在していました。更新許可は得られますか?
- 取得した就労ビザの仕事を行う必要があります。海外への出国理由が就労ビザの仕事内容と関連性のない場合、在留状況が不良ということで、更新不許可になる可能性があります。
海外への出国期間が長い場合は、申請取次行政書士等にご相談することをおすすめいたします。 - みなし再入国許可も、再入国許可も取得せずに、出国してしまいました。どうなりますか?
- 再度イチから在留資格を取得して頂く必要があります。
特に永住者の方は、この手続きを忘れてしまうと、大変なことになりますので、くれぐれもお気をつけください。
さいごに
当事務所は、就労ビザ・経営管理ビザの申請代行(取次)を得意とする行政書士事務所及び中小企業診断士事務所です。再入国許可の申請代行(取次)も行っています。外国人や会社様でお困りの際はご相談ください。
中小企業診断士/行政書士。製造業の営業職を経て、2015年に独立。行政書士業務は中小企業向けの就労ビザ・経営管理ビザの申請代行(取次)を得意としており、数多くのご依頼を通じてノウハウを蓄積。中小企業診断士業務は、ものづくり製造業やIT企業の経営コンサルティングや公的制度活用(補助金申請や各種認証取得等)のサポートに従事。