このシリーズは、会社設立後に必要な届け出について、税務関係編と保険関係編の2回に分けています。そして今回は、税務関係編です。

株式会社を設立したら、それで終わりではありません。これは、日本人であっても、外国人であっても変わりはありません。各行政期間に必要な手続きをする行わなければなりません。外国人の方の場合は、経営管理ビザなどの在留資格を取得した上で、これらの手続きを行います。一般的には、各専門分野の士業の方に相談するケースが多いのですが、士業の方と関わりがない場合、基本的に誰からも教えてもらえません。所定の手続きしないと後から問題発生することもありますので、適正に手続きされることをオススメいたします。

本記事では、税務関係に関する書類の内容と提出期限などについて解説いたします。なお、所轄の税務署は、下記のURLから検索できます。

<所轄の税務署の検索ページ(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/chizu/chizu.htm

所轄の税務署へ提出書類

(1)法人設立届出書(必須)

法人を設立してから、「2ヶ月以内」に届出書を提出しなければいけません。下記よりフォーマットを入手し、次の書類を用意し、所轄の税務署に提出します。提出方法は、”直接持参し提出する”又は、”郵送”により提出します。

    1. 【法人設立届出書と一緒に用意する書類】
    1. ・定款の写し
    1. ・履歴事項全部証明書(法務局で取得する)
    1. ・株主の名簿(氏名、住所、持ち株等を記載し作成する)
    1. ・設立時貸借対照表

<法人設立届出書のフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm

(2)青色申告の承認申請書(青色申告希望の場合、必須)

法人税の申告方法も、個人事業主と同じで青色申告と白色申告があります。そして、税制面での優遇も同じく青色申告の方が多く受けられます。一定の会計帳簿を付ける必要がありますが、メリットが多いので提出されることをオススメします。提出期限は、法人設立してから「3ヶ月」以内で、所轄の税務署に提出します。

<青色申告の承認申請書のフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

(3)給与支払い事務所等の開設届出書(役員報酬の支払、従業員を雇う場合は必須)

役員や従業員に給与の支払いがある場合、または税理士や弁護士、経営コンサルタント等の専門家への報酬の支払いがある場合には、「給与支払い事務所等の開設届出書」を提出する必要があります。注意しなければならないポイントは代表取締役ご自身に役員報酬を払う場合も必須であるということです。この届出を所轄の税務署に提出することで、源泉税の納付書が送られてくるようになります。これらの給与や報酬の源泉税が必要な支払が発生した場合は、納付書に記載し納付手続きを行う必要があります。

<給与支払い事務所等の開設届出書を入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

(4)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼届出書(従業員を雇う場合に任意)

上記(3)の役員報酬、給与や報酬が発生した場合、原則としてその都度、毎月その所得税を徴収し、翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。しかし、常時雇用する従業員数が10名未満である等の場合は、年2回(毎年7月10日と1月20日)に纏めて納付することが許可されています。そのため、上記(3)とセットで提出されることをお勧めいたします。提出期限は、この特例を受けたい月の前月末までに下記のフォーマットに記載し、所轄税務署に提出する必要があります。

<源泉所得税の納期の特例に関するフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

(5)棚卸資産の評価方法の届出書(任意)

棚卸資産の評価方法を、原則法である「最終仕入れ原価法」以外の方法を希望される場合は下記のフォーマットに記載し、所轄税務署に提出する必要があります。「最終仕入れ原価法」を採用する場合は不要です。

<棚卸資産の評価方法の届出書に関するフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_16.htm

(6)減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

土地、建物、設備などの減価償却費を原則法である定率法以外の方法を希望する場合は下記のフォーマットに記載し、所轄税務署に提出する必要があります。「定率法」を採用する場合は不要です。

<減価償却資産の償却方法の届出書のフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_21.htm

(7)消費税の届出書(課税事業者の条件を満たす場合は必須)

一定の条件を満たす場合は、「消費税の課税事業者」となり、消費税を納める必要があります。具体的には、以下の条件のいずれかに該当する事業者は、課税事業者となります。

    1. 【消費税の課税事業者となる要件】
    1. ・前々年度の課税売上高が1,000万円を超える場合
    1. ・課税売上高が1,000万円以下であるが、自ら課税事業者を選択した場合
    1. ・会社設立から2年以内であるが、事業年度開始の資本金が1,000万円以上の場合

つまり、「会社設立から2年間は、資本金が1,000万円未満であれば、消費税免税事業者(納めなくて良い)」になります。
そして、消費税課税事業者は、下記のフォーマットに記載し、所轄税務署へ届出する必要があります。なお、納める消費税の金額の計算方法は、

    納める消費税額=売上等により顧客から受け取った消費税(仮受消費税)ー仕入等により仕入先に支払った消費税(仮払消費税)

となります。ですので、支払った消費税(仮払消費税)の方が多くなる場合は、逆に還付してもらえるので、あえて課税事業者になるという選択もあります。

<消費税課税事業者届出書のフォーマットを入手する方法(国税庁のサイトへジャンプします。)>
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_03.htm

都道府県税事務所・市区町村役場への提出書類

法人を設立した場合、各都道府県や市町村が定める期限のうちに、「事業開始等申告書」を所轄の都道府県税事務所及び市町村役場に提出する必要があります。その書類のフォーマットは各都道府県及び市町村のWEBサイトからダウンロードできる所が殆どです。こちらも忘れずに提出しましょう。提出方法は、直接持参して提出するか、郵送による提出のいずれかになります。

最後に

いかがでしたでしょうか。以上が税務関係の提出する必要書類です。他にも、保険関係で提出しなければいけない書類もありますので、次回以降解説いたします。

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