「外国人社員の就労ビザの期限が、あと1ヶ月に迫っているけど更新ってどうやって行うの?」
「外国人社員は、転職入社で今回初めての更新なんだけど大丈夫?」
外国人を雇用する際、就労ビザを申請し取得したら終わりではありません。
就労ビザには期限があり、期限が到来する前に、必要書類を揃えて更新手続きをする必要があります。
例えば、雇用する外国人の方にとり、初めての就労ビザであれば、多くの方が1年後に更新する必要があります。※高学歴の方の場合や、大企業・中堅企業が雇用主の場合などは3年5年が付与されることもあります。
転職なしで引き続き、同じ会社・同じ職種で勤務する場合は各自で更新手続きするのもよいですが、転職後はじめての更新については、①前の会社で許可を得た仕事内容(職種)で働いているかなどの適法性を確認する必要があること、②新規で取得する場合と同等の書類作成が必要であることから、専門家(申請取次行政書士や弁護士)に相談したり、申請代行(取次)してもらうことをオススメしています。
この記事では、就労ビザの更新時期が到来した雇用先の会社様向けに、必要書類や注意点等を「転職あり」「転職なし」に分けて詳しく解説しています。
就労ビザを更新手続きするタイミング
就労ビザが更新申請できるのは、期限が切れる3ヶ月前からです。
そして、期限が1日でも過ぎてしまうと不法滞在者となり、会社側にも責任が生じてきます。
審査期間は、2週間から2ヶ月程度掛かります。
更新申請中に在留期限が切れてしまったら
「期限が切れる直前(数日前)に更新申請をして、審査中に期限切れになったらどうなるの・・・?」という質問を受けることがときどきあります。
更新申請の結果がでるまで日本に在留してOKです(最大2カ月)。
基本的に、期限満了日から2カ月以内に結果がでます。
就労ビザの期限直前に申請しても、審査結果が出るまでは日本に滞在しても良い(最大2カ月)のですが、更新手続きの直前に出すのはリスクが高いので余裕を持って、入国管理局へ申請しましょう。なぜなら、書類不備で受け付けて貰えないケース、後日追加書類を求められ準備していたら2ヶ月経ってしまうというケースも起こりうるからです。
この場合、どちらも不法滞在となり、そのまま雇用し続けると会社側の責任も生じてしまうので、遅くとも1ヶ月前には必要書類を揃えて更新申請することオススメしています。
【転職あり・なし共通】更新の際の必要書類
それでは更新の際、必要な書類はどのようなものでしょうか。
就労ビザの更新は大きく分けて、「(ア)転職なしの更新」、「(イ)転職ありの更新」の2種類に分けられます。
必要書類は次の通りです。
- 更新許可申請書
- 前年分の法定調書合計表
- 税の課税証明住民書、納税証明書
※最も多いカテゴリー3(前年度の給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収額が1,500万円未満の会社様)の場合。
更新許可申請書のサンプル
まず初めに、更新許可申請書のサンプルを見ていきましょう。
フォーマットのダウンロードは、法務省のサイトから可能ですので、下記よりご確認ください。
リンク先の法務省のURLの【技術人文知識・国際業務】・【経営管理】・【技能】・【特定技能】・【特定活動(研究活動等)】・【介護】等の在留資格名をクリックし、申請書類をダウンロードして頂き、更新許可申請書を作成していきます。
会社の前年分の法定調書合計表
次に法定調書合計表を用意しましょう。
法定調書合計表とは、各会社の従業員の給与所得の源泉徴収額を合計した書類であり、毎年税務署に提出しているものです。
この税務署に提出した前年分の法定調書合計表のコピーを用意しましょう。分からなければ、顧問の税理士の先生に確認しましょう。
注意点は、税務署に提出したことがわかる受付印(又は、電子申請の場合は電子申請済とわかる申請完了書)を添付する必要があります。
外国人の課税証明住民書、納税証明書
3つ目は、外国人本人の課税証明住民書、納税証明書です。こちらは、外国人ご本人が、居住する市役所・区役所で取得します。
注意点につきましては下記の記事に詳しく書いているのでご参考頂ければと思います。
就労ビザの更新申請に必要な課税証明書・納税証明書の取得方法や確認するポイント、取得できない場合の対応方法について解説しています。
【転職あり・なし共通】更新手続きにおける3つの注意点
転職なしの場合の更新に必要な書類は最低上記3点で、新規取得時と比べるとそれほど、多くありません。
しかし、何もチェックせずに申請すると不許可になる場合があります。
不許可になった場合、許可へ覆すのが大変なので、下記の3つの注意点をチェックした上で入国管理局へ申請した方が良いでしょう。
それでは、更新手続きにおける3つの注意点をひとつずつ見ていきましょう。
年収
ひとつ目は年収です。
課税証明書には、前年度の年収が記載されています。そして、思い出して頂ければ分かるかと思いますが、就労ビザの新規申請時に、雇用契約書に月給や年収を記載し提出したはずです。
雇用条件である月給・年収と、提出する課税証明書に書かれている年収に矛盾点はないでしょうか?記載した月給や年収より昇給しているのはよいですが、減らしている場合など矛盾する点がある場合、不許可となる可能性が高くなります。
この場合は、申請取次行政書士や弁護士に相談した方が良いでしょう。
保険の未納付
2つ目は保険の納付に関してです。
納税証明書には、健康保険等の納付状況が記載されています。
そして納付納期が到来しているのに未納額がある場合は、更新できない可能性が高くなります。この場合、早急に未納額を納付し納付後再度納税証明書を取得しましょう。
都道府県市民税の未納付
3つ目は、都道府県市民税の納付に関してです。
納税証明書には、都道府県市民税の納付状況が記載されています。
こちらについても、納付納期が到来しているのに未納額がある場合は、更新できない可能性が高くなります。この場合、早急に未納額を納付し納付後再度納税証明書を取得しましょう。
【要注意】「転職ありの更新」の場合
これまでが「(ア)転職なしの更新」「(イ)転職ありの更新」共通の手続き方法でした。
それでは、「(イ)転職ありの更新」の場合のみ、必要な事項を説明します。
外国人の方が転職してきて、今回はじめて更新する場合は、下記の内容をよくお読みになることをおすすめいたします。
所属(契約)機関に関する届け出を提出しているか
まず転職時に、「所属(契約)機関に関する届け出」を転職後14日以内に、転職先の会社情報を入国管理局に届け出している必要があります。
※管轄の各地方入国管理局管轄(大阪入管管轄は大阪・兵庫・京都・和歌山・奈良)へ直接出向くか、郵送の場合は東京入国管理局へ郵送します。)
【出入国在留管理庁サイト】「所属(契約)機関に関する届け出」
この所属(契約)機関に関する届け出が提出済みかどうかを確認しましょう。仮に行っていなくても、更新申請時に同時に提出すれば許可される場合もありますので、このままお読みください。
前職の仕事内容(職種)と同じであるか
次に保有している外国人の方の在留資格を確認しましょう。
例えば、前の会社の仕事内容(職種)が、翻訳通訳・海外取引業務の仕事であれば「技術・人文知識・国際業務」ですが、転職先でも同じ仕事内容(職種)でなければ、基本的に更新できません。
就労ビザを新規取得した当時と職種が変わっている場合は、更新申請ではなく、変更申請になり、現在の職種の在留資格に該当するかどうかの審査が必要となる場合があります。
現状を確認し、許可可能性を知る
- 転職時に活動機関に関する届け出を出している×職種は前職と同じ→更新許可の可能性あり
- 転職時に活動機関に関する届け出を出していない×職種は前職と同じ→更新許可の可能性あり
- 転職時に活動機関に関する届け出を出している×職種は前職と異なる→更新許可の可能性低い
- 転職時に活動機関に関する届け出を出していない×職種は前職と異なる→更新許可の可能性低い
以上の4つのパターンに分かれます。
更新許可の可能性ありの場合であっても、雇用先の会社が異なっているため、その会社の信用力等、新規で在留資格を取得する場合と同等の審査が行われます。
新規申請と同じく、「雇用契約書」、「直近期末の決算書」、「履歴事項全部証明書」、「申請理由書」、「会社概要の説明資料」などの必要書類を提出する必要がでてきますので、できれば、申請取次行政書士等の専門家に相談することをお勧めいたします。
就労ビザの更新申請を行うまえに
いかがでしたでしょうか。就労ビザの更新は、「転職有り」「転職無し」でも大きく変わってきます。
そして、不許可にならないよう、要件を満たしているかどうかをチェックしてから大阪入国管理局へ必要書類を揃えて更新手続きすることをオススメします。
特に転職後の初めての更新での場合は、申請取次行政書士や弁護士の専門家に相談することをオススメします。
また、相談や申請代行(取次)する専門家の技量も大きく関わってきます。スムーズに取得するためにも信頼できる専門家にご相談し、申請代行(取次)して貰うことをお勧めいたします。
弊社は、大阪入国管理局管轄区域(大阪府・兵庫県等)に事務所を有していますが、在留申請オンラインシステムで全国のビザ申請代行(取次)に対応しています。就労ビザの更新申請でお困りの会社様や申請代行をご希望される外国人の方は、クレアスト行政書士・中小企業診断士事務所までお気軽にご相談ください。
中小企業診断士/行政書士。製造業の営業職を経て、2015年に独立。行政書士業務は中小企業向けの就労ビザ・経営管理ビザの申請代行(取次)を得意としており、数多くのご依頼を通じてノウハウを蓄積。中小企業診断士業務は、ものづくり製造業やIT企業の経営コンサルティングや公的制度活用(補助金申請や各種認証取得等)のサポートに従事。