※この記事は、在留資格「企業内転勤」で申請をご検討の企業様向けに書いています。
企業内転勤ビザ(就労ビザ)は、人事異動により外国の事務所で働く外国人従業員を、日本の事業所に転勤してもらい、日本で就労してもらうために設けられた在留資格です。
ただし、外国の自社グループ会社の従業員であれば、誰でもビザが取得できるというわけではなく、細かな条件があります。
まず覚えておきたいことは、企業内転勤ビザは、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格にあてはまる業務でなければならないということです。
ではなぜ、技術・人文知識・国際業務ビザと区別して、企業内転勤ビザというものが設けられているのでしょうか?
それは、活用の仕方によっては、自社グループ会社で働いている外国人を日本に転勤させやすくなるからです。
それでは、具体的にどのような違い、どのような審査要件があるのかを見てみましょう。
具体的な対象となる企業と審査基準は?
(ア)対象となる企業(企業内転勤に関する定義について)
まずはじめに、対象となる企業を見ていきましょう。
「企業内転勤ビザ」は、どこまでが「企業内」と認められるのでしょうか?
企業内と聞いたら、同じ会社内での人事異動のことを指すように思われるかもしれませんが、「企業内転勤ビザ」の対象企業は、子会社や関連会社(資本関係20%以上)においても認められます。
【企業内転勤ビザが活用できる異動パターン】
- 本社・支社・営業所間の異動
- 親会社・子会社間の異動
- 親会社・孫会社間および子会社・孫会社間の異動
- 子会社間の異動
- 孫会社間の異動
- 関連会社への異動(※一定の条件あり)
つまり、必ずしも同じ会社でなくても、一定の関連性があれば、企業内転勤の対象となる可能性があります。
関連会社について個別の事案にもよりますので、ご注意ください。
(イ)対象となる外国人の職種
次に、海外拠点の外国人従業員であれば、どのような職種でもOKというわけではありません。
では、どのような外国人従業員が対象となるのでしょうか?
つまり、技術・人文知識・国際業務ビザで解説させて頂いた職種でなければ企業内転勤はできません。
詳細を知りたい方は、技術・人文知識・国際業務ビザのページでご確認頂けますが、大まかな職種例を下記に整理しておきます。
【大まかな職種例】
- 大学などで学んだ専門分野(文系・理系問わず)において、専門職(職人)として海外拠点で就労されている外国人の方
- 貿易事務、海外業務、翻訳通訳、システムエンジニア・プログラマーとして海外拠点で就労されている外国人の方
- 語学教師として就労される外国人の方
重要なポイントは、職種は同じであっても、審査基準が違うので、技術・人文知識・国際業務の審査基準に当てはまらなくても、企業内転勤では該当するというケースが出てくるということです。
(ウ)審査基準:技術・人文知識・国際業務ビザとの違いは学歴・職歴要件
それでは、重要なポイントである審査基準と、技術・人文知識・国際業務ビザとの違いを比較してみましょう。
入管法には、以下のようにあります。
申請人が次のいずれにも該当していること。
一 申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること。
二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
つまり、企業内転勤ビザは、技術・人文知識・国際業務にはあった、実務経験10年(或いは3年)や専門分野で大学を卒業していること、という要件がないことです。
分かりやすく表にして比較してみましょう。
企業内転勤 | 技術・人文知識・国際業務 | |
審査要件 | 1年以上、自社の海外拠点で働いていること | ●理系文系の専門職(自然科学・人文科学) →専門分野の学部で大学(或いは専門学校)を卒業していること (または10年間の実務経験が必要) ●通訳、貿易事務などの専門職(外国文化) →大学を卒業していること (または3年間の実務経験が必要) などの要件がある。 |
来日後の転職 | NG (退職した場合は帰国する。) |
OK (退職しても、同じ職種であれば日本で別の会社に転職可能) |
雇用契約 | 既存の雇用計画でOK (転勤命令書などを添付する。) |
新たに雇用契約を結ぶ |
期間の定め | 転職期間の定めが必要 | 期間の定めなしでもOK |
こうしてみると、違いが明確ですね!
「技術・人文知識・国際業務ビザ」では、実務経験年数や学歴が満たしておらず、諦めなければいけなかった人材も、1年間海外拠点で働いてもらい、その後企業内転勤ビザで日本での就労することができるというのが最も重要なポイントです。
注意点:経営者・管理者にあたる場合は経営管理ビザで申請
注意点として、転勤をさせたい方が、役員であったり管理職である場合で、この場合は「経営管理ビザ」で申請します。
「経営」には代表取締役、取締役、監査役などが、「管理」には部長、工場長、支店長などが当たります。
「経営管理ビザ」には、学歴要件がなく、管理者の場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験を有していることが要件となりますのでご注意ください。
詳しくは、経営管理ビザの解説ページをご参照ください。
経営者や管理者(経営管理ビザに該当する職種)として、日本に転勤する場合は、企業内転勤ビザではなく、経営管理ビザで申請しなければなりません。
企業内転勤ビザの申請のご支援の流れ
企業内転勤ビザの申請をご検討される場合は、具体的な申請までのスケジュールは、外国法人の会社から転勤する4ヶ月前には準備を進めておきたいところです。
申請代行業務の費用面につきましては、就労ビザ申請代行をご依頼をご検討の方へのページをご確認ください。
料金
弊社は、業界水準と同等以下の価格でサポートさせていただいております。料金一覧ページをご確認くさだい。
企業内転勤をお考えの企業様へ
企業内転勤ビザで自社の日本法人へ呼び寄せるためには、事前準備が重要になってきます。
さらには、自社グループの日本法人または海外法人の社歴が浅い場合は、特に十分な説明資料を作成する必要があります。
企業内転勤で希望の外国人の方を日本勤務に呼び寄せることができるかどうかは、申請企業様に取っても外国人の方に取っても、今後に大きく影響してきます。
そして、許可されるか否かは、相談する専門家の技量も大きく関わってきます。スムーズに取得するためにも信頼できる専門家にご相談することをお勧めいたします。
企業内転勤ビザでお困りの企業様は、大阪、京都、神戸で就労ビザの申請代行はクレアスト行政書士事務所までお尋ねください。
中小企業診断士/行政書士。製造業の営業職を経て、2015年に独立。行政書士業務は中小企業向けの就労ビザ・経営管理ビザの申請代行(取次)を得意としており、数多くのご依頼を通じてノウハウを蓄積。中小企業診断士業務は、ものづくり製造業やIT企業の経営コンサルティングや公的制度活用(補助金申請や各種認証取得等)のサポートに従事。