※この記事は、経営管理ビザを更新したいが、赤字決算や債務超過であった企業様向けに記載しています。
中小企業診断士や公認会計士からの今後の業績見通しに対する評価が求められるケースについて解説しています。

※中小企業診断士としての業績見通しの評価書の作成依頼の企業様はこちらよりお問い合わせください。

経営管理ビザの更新に必要なこと、それは事業の継続性

経営管理ビザを更新するためには、事業の継続性が認められないといけません。

事業の継続性について平たくいうと、ちゃんと事業をして売上が立ち、利益=黒字があがっているかということです。

但し、初年度から黒字決算で順調に行くとは限りません。

昨今のベンチャー企業では、最初の数年は赤字で、その後マネタイズ化するというケースも多々あります。

法務省のサイトでは以下のように表現されています。

事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ,当該事業の継続性については,今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。

他方で,単年度の決算状況を重視するのではなく,貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから,直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

つまり、単年(1年)赤字であっても、会社によっては継続性があると認めますよ!ということです。

但し、どの企業でも認めるということではありません。

利益剰余金がある場合

ではどのような企業が認められるのでしょうか・・・?

続けて次のように表記されています。

(1)直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合

a 直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合

直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には,事業の継続性に問題はありません。
また,直近期において当期純損失となったとしても,剰余金が減少したのみで欠損金とまでならないものであれば,当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから,この場合においても事業の継続性があると認められます。
したがって,直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には,事業の継続性があると認められます。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

この場合は、直近黒字+資産超過(貸借対照表の利益剰余金がマイナスでない)であり、問題ありません。

スムーズに許可される可能性が高いと言えます。

欠損金がある場合

パターン1:直近期末が赤字×債務超過ではない(資産超過)

では、直近が赤字、または債務超過(利益剰余金がマイナスで自己資本もマイナス)の場合はどうでしょうか?

この点、次の3つのパターンが考えられます。

順番に見ていきましょう!

b 直近期末において欠損金がある場合

(ア)直近期末において債務超過となっていない場合

事業計画,資金調達等の状況により,将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し,今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし,事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて,原則として事業の継続性があると認められます。ただし,当該資料の内容によっては,中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出をさらに求める場合もあります。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

この場合は、直近期末が赤字ではあるが、債務超過ではない(資産超過)という状態です。

この場合は、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出しなければなりません。

許可されるかどうかわからない企業様、中小企業診断士や公認会計士からの評価書が必要になった企業様は専門家にご相談することをお勧めします。

※当事務所は、中小企業診断士兼行政書士事務所として経営管理ビザの専門家の立場から、ワンストップで問題解決支援しております。ご相談の場合は、こちらから

パターン2:直近期末が赤字×直近は債務超過×2期前は資産超過

(イ)直近期末において債務超過であるが,直近期前期末では債務超過となっていない場合

債務超過となった場合,一般的には企業としての信用力が低下し,事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから,事業の継続性を認め難いものですが,債務超過が1年以上継続していない場合に限り,1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとします。
具体的には,直近期末において債務超過ですが,直近期前期末では債務超過となっていない場合には,中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が,改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし,当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

この場合は、直近期末が赤字ではあり、債務超過になっている状態です。

債務超過が1年を継続していない場合は、中小企業診断士や公認会計士が業績改善の見通しの企業評価の提出が求められ、状況次第で認められる可能性があります。

当事務所では、中小企業診断士兼行政書士として、双方を専門にしており、支援させて頂いておりますが、受任できるかは企業様の状況によります。
ご状況を整理頂き、決算書のご用意と共にこちらからご相談ください。

パターン3:直近期末が赤字×直近は債務超過×2期前も債務超過

(ウ)直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合

債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは,事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから,事業の継続性があるとは認められません。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

この場合は、次の場合と同じですので、纏めて下記に説明いたします。

ⅱ)直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合

企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは,通常の企業活動を行っているものとは認められず,仮に営業外損益,特別損益により利益を確保したとしても,それが本来の業務から生じているものではありません。
単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ,二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。したがって,この場合には事業の継続性があるとは認められません。

注:法務省 「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より

この2つの状況の場合は、事業の継続性はあるとは認められません。

よってこの場合、現状のまま中小企業診断士や公認会計士などに相談しても基本的には結果は変わりません。

但し、増資をする、役員借入によって債務超過になっているなど、つまり実質的には資産超過に改善できるという場合は認められる可能性もあります。

特別なご事情をお持ちの企業様は、その旨をご説明いただき、こちらよりご相談ください。

最後に

いかがでしたでしょうか。

申請取次行政書士と中小企業診断士の兼業であることから、当事務所ではワンストップでお悩みを解決させて頂いております。

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